醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 ブレイクから「お守りだ」と言われ、渡されたものと寸分違わぬ意匠。
 反射的に自分の手首を見る。

 そこには、確かに同じ腕輪が嵌められていた。
 だとすれば、そこにあるのは⋯⋯。

(これは、パトリスの? どうしてパトリスも、同じものを? ブレイクから受け取ったの?)

 疑念が、冷たい水のように背筋を伝う。

 パトリスが、甘く、慈しむように囁いた。

「エリシア、ここは君の居場所だ」
 耳元に近づく声。逃げ場のない距離。

「私の、居場所?」
「寂しかったんだろう。だから飛び降りたんだ。こうやって体温を伝えれば安心すると、ブレイクも言っていた」
 理解できない言葉の羅列。

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