醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
そして、黒いベールを深く被ったルナ王女。

視線が、一斉にエリシアへ集まる。

「久しぶりだな、エリシア。美しく成長した」
ユーイン国王の声は穏やかで、まるで慈愛に満ちた父親のようだった。
だが、その作り物めいた笑みを見た瞬間、エリシアの胃がきゅっと縮む。

エリシアは吐き気がした。

「挨拶は?」
次に口を開いたのは、マリアンヌ王妃だった。
ゆっくりと、嘲るような視線。

「エリシア・クルーシー。魔獣と戯れているうちに礼儀も忘れたの?」
名を呼ばれるだけで、鎖を掛けられるような感覚。

広間に、くすりと小さな笑いが落ちる。

誰も止めないし、誰も咎めない。
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