醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
その瞬間、エリシアははっきりと悟った。

彼らは、彼女を「聖女」として迎えたのではない。
従わせ、利用し、管理する存在として扱うつもりなのだ。

胸の奥で、何かが静かに折れ、同時に、別の何かが確かに立ち上がった。
エリシアは玉座を見据えたまま、一歩も引かずに口を開く。

「私は、聖女です」

凛とした声が、広間に響く。
震えはないし、逃げもない。
その一言が、冷え切っていた玉座の間の空気を、はっきりと変えた。

凛とした声が、玉座の間に澄んで響いた。
高い天井に反射し白い大理石の柱を伝い、その一言は王宮という巨大な器の中心に確かに落ちる。

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