醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
マリアンヌ王妃は隣国の王族出身で、王族以外の人間を人とも思っていない。

「ルナ王女が黒魔術で、私を害したことを公表してからです!」
エリシアの声が、鋭く返る。

「できるわけがないだろう! さっさと治療しろ。さもなくば、今すぐ首をはねる! これは王命だ」
ユーイン国王が、玉座から身を乗り出す。
剣を携えた近衛騎士たちが、わずかに足を動かす音がした。

その言葉は、あまりにも容易に発せられた。
命を命として数えていない声音。

「どうぞ、ご勝手に」
エリシアの返答は、驚くほど静かだった。
だが、その静けさが、広間を氷のように凍らせた。

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