醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

5.甘い首輪

エリシアは唇を噛んだ。
 彼らは何も分かってない。

 いつ死んでもおかしくない時を十年も生きてきた。

 信じていたものから裏切られ、孤独に時を過ごした。
 何の為に生きているのか分からない十年の日々はエリシアの心を静かに殺した。

「⋯⋯待って」
 か細い声が割り込む。

 静寂を破ったのはルナだった。
 黒いベールの下で、彼女の肩が小刻みに震えている。

 ゆっくりと、ためらうように手を伸ばしベールを剥がす。
 露わになったのは、赤黒く腫れ上がり岩のように歪んだ顔。

 その異様な姿に、広間の空気がざわめく。

 マリアンヌ王妃はルナから視線を逸らし、深く息を吐いた。

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