醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 鋭い刃が髪に触れた瞬間、パサリと光を反射するプラチナブロンドの髪が宙に舞う。
 甲板の潮風に揺れ、波間に散る髪の一筋一筋が自由を取り戻したように流れて行った。

 海賊の男は一瞬、目を見開いた。
「なっ、何を! 女ごときが! 賊に触れられた髪なんて穢らわしいとでも?」

 エリシアはうっすらと笑みを浮かべた。
 それは美しい微笑ではない。妖しい光を帯びた決意と怒りが入り混じった笑み。

 その微笑みに、空気が一瞬凍る。

 瞬間、甲板の端から鋭い金属音が響いた。
 賊の男の腕が吹き飛ぶ。

 振り返ると、そこには剣を抜いたブレイクの姿。
 銀色の刃が夜を切り裂き、光を反射してきらめく。

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