醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
「とっくに他国では対策がとられている病を原因不明だなんて言ってる⋯⋯そんなノイダン王国の愚かさを試してただけだ」
 セドリックは、視線を逸らさずに冷酷な程に淡々と答えた。

「それと、私の聖女の力の強さも見てたんでしょ。思ってたより弱くてがっかりした? だったら、ここに私を捨てて行ったら? 役に立たない足手まといよ」
 エリシアの瞳が細くなり、夜の闇を指差す。

「遠くに陸が見えるでしょう。貴方は泳げるもの。一人なら、いつだって帰れる」
 エリシアは気づいていた。
 セドリックはいつでも一人ならこの場所を脱出できる。

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