あと30日で、他人に戻るふたり
ゴミ袋を抱えて出ると、先に玄関から出ていた彼が「あれ?」と首をかしげる。

「今日ゴミの日だっけ?」

「可燃ゴミ、月曜と木曜でしたよ、たしか」

「忘れてた」

そう言って、彼が私の持っている袋をちらりと見る。


「ペットボトルは?けっこう溜まってた」

「それは資源ごみなので、明日出しますよ。今日は違います」

「出しちゃえばよくない?」

「よくないです。ちゃんと分けないと、回収してもらえないですよ」

即答すると、彼が少しだけ眉をひそめた。

「面倒だな」

ため息までついている。


このマンションみたいな集合住宅に住む以上、ちゃんとルールは守らなくてはならない。
最低限のマナーだ。


鍵を閉めて歩き出すと、後ろから彼がついてくる。

「誰も見てないでしょ」

「いや、こういうところってけっこう見られてますよ、たぶん」

話しながら誰もいないエレベーターに乗り込んで、ゴミ袋を抱え直す。

すると手に持っていた重さが急になくなる。
いつの間にか、彼がゴミ袋を持ってくれていた。


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