あと30日で、他人に戻るふたり
ふと横を見ると、猫背になって真剣にキャベツとピーマンを睨んでいる横顔がある。

……この人は、仕事よりも料理の方が断然苦手なんだろうな。

そんなことを考えていたら、突然振り向いた。

「……ねぇ、これで合ってる?」


ザルの中にカットされたキャベツが入っている。
私がお手本で切ったものよりだいぶ大きい。

ピーマンも大きさがバラバラだけど、全部言ったらショックかな。

ちょっと考えて、キャベツを指す。


「大きさを揃えるって思えばいいかもしれないですね」

言い方をオブラートに包んだら、不満そうな顔をされた。

「もっと小さく?」

「…それです」

「キャベツの、この硬いところは?どうすればいいの?捨てる?」

「火が通れば食べられますよ」

「とにかく小さくすればいいんだな」


納得したようにうなずいたのに。
五分後にザルに入っていたのは、細かく刻まれたキャベツだった。

「もうどれが見本か分からなくなった」

聞いたことのない絶望的な口調に、笑いが止まらなかった。

「いいんですよ、食べやすければそれで」

「うそだな。笑ってるじゃん」

「気のせいです」


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