あと30日で、他人に戻るふたり
大地さんは曖昧な返事だけをして、思い出したように手元のビニール袋を持ってキッチンのカウンターに置いてきた。

「これ、買ってきたよ」

差し出された袋からは、いい匂いがした。

中にはパックに入った大きめのコロッケがふたつ。
見覚えのある袋のマークに、はっとして顔を上げた。

「───あっ!このお店!!」

「そう、あのでっかいメンチカツの店」


日曜日に食べ歩きをした時に、一発目に並んだ爆弾のように大きなメンチカツを買ったお店。
あそこのコロッケを買ってきたようだ。

「二日目のカレーにこれ乗せたら、もっと美味しいかなって」

何気ないそういう気持ちが、じつはかなり嬉しかったりする。

さっきからたぶん、自分でもものすごく笑ってしまっている自信がある。


「美味しそう!ありがとうございます!トースターで少し焼いたらカリッとしそう」

「あー、いいかも」

「でもこのまま食べたい気もする…」

「食いしん坊だな」

キッチンに踏み込んできた大地さんが鍋で温め直しているカレーを覗いて、少しだけ顔が綻んでいる。


「今日もおかわりできますよ」

「うん。する」

あまりに早い即答に、私はまた笑ってしまった。




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