あと30日で、他人に戻るふたり
午前中の仕事を終え、約束していた会社の近くのハワイアンカフェに来ていた。

オープンして間もない頃はランチタイムには全然寄り付けないほど混んでいたけれど、最近ようやく落ち着いてきたらしく。
今日は並ぶことなく入れた。


久しぶりに優奈とランチする時間ができて、お昼休みの短い時間とはいえ気持ちがほどける。


「私、ポキライスランチにする」

即決の優奈に対して、私は迷いに迷う。

「うーん…、ガーリックシュリンプか、タコライスか…」

まだこっちは迷ってるっていうのに、彼女は勝手に店員さんを呼び止めて

「すみません!ポキライスとガーリックシュリンプで!」

と頼んでしまった。


「ちょっとぉ!タコライスも捨てがたいのに〜」

「時短。迷ってる時間があったらしゃべりたい!」

あまりにも素直な優奈の物言いに、毎回“まあいいか”と思ってしまう私も私なんだけど。


料理が届くまでの間、ゆったりした店内のBGMとは全然違う女性たちの賑やかな話し声に紛れて、優奈もぺちゃくちゃとしゃべっている。

「……でさ、アプリでいい感じになった人に会おうって言われたから、数打ちゃ当たるかなって行ったわけ。でもさ、やっぱりダメよ、趣味がサウナって言ってるやつは。脳筋すぎて」

ずーっとマッチングアプリでの出会いや、デートしてみた印象を話続けている彼女に、私はちょいちょい合いの手を入れる。

「……あれ?私たぶん、“趣味がグルメ旅の人に会う”ところまでしか聞いてない」

「いったいいつの話をしてんのよ。そんな大昔の話は覚えてない」

「えーっ、一週間に何人と会ってるの?」

「んー。フィーリング?」

「答えになってない」


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