彼と彼女の、最大の不具合
即答されたのを確認して、ほんとにいいんだね?あとで止めても知らないからね?と心の中で一応警告を出してから、大きく息を吸う。
「サラサラで光を反射するみたいに綺麗な黒髪に、すっとした二重の切れ長の瞳も、通った鼻筋に、主張しすぎない薄めの唇も、そして何より、あの涙ボクロなんて色気で、もう反則レベルだし、気遣いもすごくて、いつもふたりで飲みに行ったときなんかは私のコートをさりげなくハンガーにかけてくれるし、座るときは必ず椅子を引いてくれるの。飲んでる時の横顔なんかは、ものすごく綺麗で、かっこいいというか最早美人?プリンセス?髪が伸びてきたときなんかは、たまに前髪あげてたりして、そのときの無防備なおでこが超可愛いの。仕事なんて言わずもがな!人一倍努力家でセンスもあって、冷静かつ迅速で私にはないものを持ってる人なの。あと、」
そこまで一気に言い切ったところで、息が足りなくなる。頭の中にある右京くんの情報が、止めどなく溢れてしまって、自分でも制御できていなかった。
山口は最初こそ普通に聞いていたのに、途中からだんだん表情が変わっていく。そしてついに、限界が来たみたいにテーブルを軽く叩いた。
「もういいっす!十分っす!」
「え、まだ途中なんだけど」
「十分すぎますって!」
山口は苦笑いしながらビールを一口飲むけど、耳までほんのり赤い。
「いやいや、まだ、手が綺麗で指が長くて……の話残ってるんだけど!」
「それはもういいです!」
「(え、なんで止めるの!?まだ重要ポイントだったのに!)」
納得いかないまま山口を見ると、彼は少し呆れたように、それでもどこか楽しそうに笑っていた。