ピエロ・ガール
麗奈が笑みを浮かべて答えると、洗濯物を干し終えた母親が言う。その顔には絶対的な笑みがあった。

「大丈夫よ、お父さん。麗奈は毎回テストで一番いい成績なんだから。英語のスピーチ大会やビブリオバトルでも優勝したんだし」

「そうだな。麗奈は自慢の娘だな」

麗奈はニコニコと笑う。笑みを無理やり作る。浮かび上がってきそうな感情を殺し、見て見ぬふりをする。

(私は、お父さんたちの期待に応えられる。応えなくちゃ)

弁護士の父親と、会社社長の母親。優秀な二人から生まれた麗奈は、幼い頃から周りに期待されて育った。名門の進学校に入学が決まった際、親戚から言われた言葉はたった一つである。

『さすがあの二人の子どもね!大学はどこに行くのかしら?東大?慶應?海外留学でケンブリッジやマサチューセッツに行ったりして!』

周りの期待は風船のようにどんどん膨らんでいく。麗奈は笑みを浮かべ、ただそれに応えていくのだ。

「行ってきます」
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