恋から逃げるのには理由(わけ)があって
私はスマホを伏せた。
でも、伏せた画面の裏側で、ネットは盛り上がり続けている。
見なくてもわかる。
今夜のSNSはきっと、太陽と絵里奈でいっぱいだ。
そして太陽からは、連絡が来ない。
番組のあとも。
一時間後も。
日付が変わる前も。
来ない。
それは、彼が私に約束を守っているということだ。
私が嫌なら連絡しないと言った。
私が怖がるなら近づかないと決めた。
本当に、彼はそうしている。
私は望み通り、太陽の生活から離れていく。
太陽は仕事へ戻り、映画へ戻り、世界中の視線へ戻る。
その隣には、朝比奈絵里奈がいる。
何も問題ない。
何も問題ないはずなのに。
「……このまま?」
声が、勝手にこぼれた。
このまま、太陽と何もなくなるのだろうか。
連絡が来なくなって。
会わなくなって。
そのうち、私の誕生日の0時LINEも、卵雑炊も、川沿いのジャケットも、全部ただの短い出来事になる。
太陽はやがて、私を追わなくなる。
仕事の中で、もっとふさわしい人と並ぶ。
世間に祝福される形で、誰かと恋をするかもしれない。
それが、私の望んだ未来のはずだった。
なのに、胸の奥が、急に寒くなった。
私は両手で顔を覆った。
一度目の人生で太陽を失った。
あの手が冷えていく感触を、私は今も覚えている。
最後に「生きて」と言った声を、忘れられない。
だから二度目では、彼を守るために恋から逃げると決めた。
でも。
逃げることと、太陽を失った痛みに縛られたまま生きることは、本当に同じなのだろうか。
太陽を生かすためなら、私はこのまま、彼との何もない未来を選び続けていいのだろうか。
それとも私は、あの夜に太陽を失ったまま、まだ一歩も進めていないだけなのだろうか。
でも、伏せた画面の裏側で、ネットは盛り上がり続けている。
見なくてもわかる。
今夜のSNSはきっと、太陽と絵里奈でいっぱいだ。
そして太陽からは、連絡が来ない。
番組のあとも。
一時間後も。
日付が変わる前も。
来ない。
それは、彼が私に約束を守っているということだ。
私が嫌なら連絡しないと言った。
私が怖がるなら近づかないと決めた。
本当に、彼はそうしている。
私は望み通り、太陽の生活から離れていく。
太陽は仕事へ戻り、映画へ戻り、世界中の視線へ戻る。
その隣には、朝比奈絵里奈がいる。
何も問題ない。
何も問題ないはずなのに。
「……このまま?」
声が、勝手にこぼれた。
このまま、太陽と何もなくなるのだろうか。
連絡が来なくなって。
会わなくなって。
そのうち、私の誕生日の0時LINEも、卵雑炊も、川沿いのジャケットも、全部ただの短い出来事になる。
太陽はやがて、私を追わなくなる。
仕事の中で、もっとふさわしい人と並ぶ。
世間に祝福される形で、誰かと恋をするかもしれない。
それが、私の望んだ未来のはずだった。
なのに、胸の奥が、急に寒くなった。
私は両手で顔を覆った。
一度目の人生で太陽を失った。
あの手が冷えていく感触を、私は今も覚えている。
最後に「生きて」と言った声を、忘れられない。
だから二度目では、彼を守るために恋から逃げると決めた。
でも。
逃げることと、太陽を失った痛みに縛られたまま生きることは、本当に同じなのだろうか。
太陽を生かすためなら、私はこのまま、彼との何もない未来を選び続けていいのだろうか。
それとも私は、あの夜に太陽を失ったまま、まだ一歩も進めていないだけなのだろうか。