恋から逃げるのには理由(わけ)があって

第19話 秘密の告白

何も問題ないはずなのに。

そう思った瞬間から、部屋の空気まで重くなった気がした。

私は洗濯物の上で両手に顔を埋めたまま、しばらく動けなかった。
テレビは消した。
スマホも伏せた。
それなのに、頭の中ではまだ、朝比奈絵里奈の声が響いている。

良きパートナー。

たいえり。

運命の恋。

誰だ、そんな単語を私の夜に持ち込んだ人間は。
出てきなさい。反省会をします。

けれど、冗談を浮かべても胸の奥は軽くならなかった。

太陽からの連絡は来ない。
来ないことが正しい。
私はそう望んだ。

なのに、正しいことがこんなに苦しいなんて、誰も教えてくれなかった。

「……何か食べよう」

声に出してみたものの、冷蔵庫を開けた瞬間、現実が私を見下ろしてきた。

牛乳、ほぼ空。
卵、なし。
納豆、ひとつ。
プリン、ひとつ。

私はため息をしてから、財布とエコバッグをつかんだ。
スーパーへ行こう。
食材を買う。
できれば何も考えず、卵と牛乳と、できれば値引きされた総菜を買う。
人は生活を続けるためにスーパーへ行く。恋愛に負けそうな時も、タイムセールは待ってくれない。

そう思って部屋を出た。
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