恋から逃げるのには理由(わけ)があって
――映画公開初日。
舞台挨拶が行われる劇場は、別世界だった。
ロビーには大きなポスターが並び、白と金の衣装をまとった太陽が、巨大なパネルの中で剣を構えている。ファンの人たちの華やかな服、報道陣のカメラ、スタッフのインカム、赤いカーペット。きらきらしている。語彙力が足りないので、もう全部きらきらで片づけたい。
私は新庄に案内され、関係者入口から中へ入った。
着ているのは、少しだけ背伸びした淡い黄色のワンピース。母に写真を送ったら「向日葵みたい」と返ってきた。名前そのままの感想である。
控室の前で、太陽が待っていた。
黒のスーツに、白いシャツ。襟元には細い金のピン。
王子様の衣装ではない。
なのに、もう十分に王子様だった。
「来てくれてありがとう」
「逃げ出そうとしたら、新庄さんに捕獲されると思って」
「捕獲はしません。誘導です」
背後で新庄が淡々と言う。
その淡々さが怖い。逃走防止の実績がありそうだ。
太陽は小さく笑った。
舞台挨拶が行われる劇場は、別世界だった。
ロビーには大きなポスターが並び、白と金の衣装をまとった太陽が、巨大なパネルの中で剣を構えている。ファンの人たちの華やかな服、報道陣のカメラ、スタッフのインカム、赤いカーペット。きらきらしている。語彙力が足りないので、もう全部きらきらで片づけたい。
私は新庄に案内され、関係者入口から中へ入った。
着ているのは、少しだけ背伸びした淡い黄色のワンピース。母に写真を送ったら「向日葵みたい」と返ってきた。名前そのままの感想である。
控室の前で、太陽が待っていた。
黒のスーツに、白いシャツ。襟元には細い金のピン。
王子様の衣装ではない。
なのに、もう十分に王子様だった。
「来てくれてありがとう」
「逃げ出そうとしたら、新庄さんに捕獲されると思って」
「捕獲はしません。誘導です」
背後で新庄が淡々と言う。
その淡々さが怖い。逃走防止の実績がありそうだ。
太陽は小さく笑った。