恋から逃げるのには理由(わけ)があって
窓の外には、夜の街が広がっている。
遠くに車のライト。
ビルの窓。
誰かの日常の灯り。
一度目の私は、太陽を失った。
二度目の私は、太陽から逃げようとした。
けれど今、私は太陽の隣にいる。
逃げる理由は確かにあった。
でも、逃げるのをやめる理由も、ここにある。
太陽が私の髪にそっと触れた。
頭を撫でる手は、あたたかくて、やさしかった。
「向日葵」
「何?」
「明日の朝、何食べたい?」
私は少し考えた。
「卵雑炊」
「作る」
「しょうが多めで」
「わかった」
「あと、プリンも」
「朝から?」
「幸せなので」
太陽は笑った。
「じゃあ、苦めのカラメルのやつを出してあげる」
「覚えてるんだ」
「忘れない」
その言葉に、私は目を閉じた。
もう怖くない、とは言わない。
でも、怖くても大丈夫だと思える。
目を開ければ、太陽がいる。
私を見て、笑っている。
王子様みたいで、世界的俳優で、時々過保護で、卵雑炊が得意で、私のことを15年越しどころか人生二周分好きでいてくれる人。
私はその手を握った。
「太陽くん」
「うん」
「生きててくれて、ありがとう」
太陽は一瞬だけ泣きそうな顔をした。
それから、私の手を強く握り返した。
「向日葵も、生きててくれてありがとう」
窓の外で、夜の街が静かに光っていた。
私は太陽の肩に寄りかかりながら、小さく笑った。
遠くに車のライト。
ビルの窓。
誰かの日常の灯り。
一度目の私は、太陽を失った。
二度目の私は、太陽から逃げようとした。
けれど今、私は太陽の隣にいる。
逃げる理由は確かにあった。
でも、逃げるのをやめる理由も、ここにある。
太陽が私の髪にそっと触れた。
頭を撫でる手は、あたたかくて、やさしかった。
「向日葵」
「何?」
「明日の朝、何食べたい?」
私は少し考えた。
「卵雑炊」
「作る」
「しょうが多めで」
「わかった」
「あと、プリンも」
「朝から?」
「幸せなので」
太陽は笑った。
「じゃあ、苦めのカラメルのやつを出してあげる」
「覚えてるんだ」
「忘れない」
その言葉に、私は目を閉じた。
もう怖くない、とは言わない。
でも、怖くても大丈夫だと思える。
目を開ければ、太陽がいる。
私を見て、笑っている。
王子様みたいで、世界的俳優で、時々過保護で、卵雑炊が得意で、私のことを15年越しどころか人生二周分好きでいてくれる人。
私はその手を握った。
「太陽くん」
「うん」
「生きててくれて、ありがとう」
太陽は一瞬だけ泣きそうな顔をした。
それから、私の手を強く握り返した。
「向日葵も、生きててくれてありがとう」
窓の外で、夜の街が静かに光っていた。
私は太陽の肩に寄りかかりながら、小さく笑った。


