姉の身代わりに敵国に嫁いだら皇太子に溺愛されました

第1章 皇太子との結婚

長く続いた戦争のせいで、城の空気はいつも重かった。

廊下を歩くだけで、誰もが疲れた表情をしているのが分かる。

そんなある日、私は王の間の前で足を止めた。

中から、父である国王の声が聞こえてきたからだ。

「敵国は、和睦の条件として皇女との婚姻を求めている」

思わず息を呑む。

――皇女の、婚姻。

それが何を意味するのか、私にも分かった。

そして、次に聞こえてきたのは姉の声だった。

「冗談じゃないわ」

はっきりとした拒絶。

「どうして私が敵国なんかに嫁がなくちゃいけないの?あんなところに行ったら、何をされるか分からないじゃない」

その声には、恐怖と嫌悪が混じっていた。

父は静かに言い返す。

「エレノア、これは国のためだ」

けれど姉は、すぐに強く首を振った。
< 1 / 30 >

この作品をシェア

pagetop