遼くんは泣き顔がお好き。


「なんか…俺がいうのもなんだけど…
ドンマイ。」

「田道くんに言われたくない…」

「とりあえず立てる?
うわぁ…髪もびっしょびしょじゃん…」


気の毒そうな顔で手を差し出して来た相原くんにお礼を言おうと顔を上げると、
不自然にそらされた顔。
その口元は笑いを堪えるように震えていた。


「相原くん、え、まさか笑ってる?
この可哀想な状況見て笑ってる?嘘でしょ?」

「あんな見事に顔から海に転ぶ人初めて見た…」

その言葉に吹き出したのは江波さん。
2人ともびしょ濡れのあたしの姿を直視できず、
小刻みに震えながら笑いを堪えている。

どいつもこいつもひどすぎない?

大体こんなことになったのも、遼くんが急に抱きついて来たからで。
一言文句言ってやろうと振り向くと、顔を真っ赤にして下を向く遼くんの姿があった。
その口元は小さく震えている。


「…そんなに面白い?」

「ご、ごめっ…まさかあんなすっ転ぶと思わなくて…っ」

「助ける暇もないくらい一瞬で砂浜に埋まってたもんな…」

宮尾くんまでこんなことを言い始める始末。

コイツら、いつか覚えてろ。


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