遼くんは泣き顔がお好き。
「小さい頃にね、助けてもらったことがあって
それ思い出してニヤけちゃった」
「ふ〜ん…ニヤけるほどいい思い出なの?」
「いい思い出じゃないけど、いい思い出かなあ」
「なんだそれ、意味わかんねー」
相変わらずあたしの頭をガシガシ拭いている遼くんは、フッと小さく笑う。
「クラスの男の子たちにね、砂をぶっかけられたことがあってね?公園で」
あたしの話を聞いてくれようとしたのか、頭を拭いていた遼くんの手が止まる。
「もー悔しくて悲しくて恥ずかしくて泣きそうになってたんだけど、知らない子がハンカチで顔とか拭いてくれて。
あたしほっとして気が緩んだ瞬間大泣きしちゃったんだよね」
今思えば、あの頃から既に初対面の人の前で大泣きする癖はついちゃってたらしい。
遼くんに初めて会った時も、大泣きしてびっくりさせたっけ。
「助けてくれた子は本当にただ通りがかっただけの子で、
たまたまあたしがいじめられてるとこ見かけて声かけてくれたっぽかったんだよね。
それがその時すごく嬉しかったのは覚えてる」
「………そう、
その子の顔は覚えてないの?」
「男の子だったのは覚えてるんだけど、
顔まで覚えてないんだよなぁ〜…お礼ちゃんと言えなかったから言いたかったんだけどね」