遼くんは泣き顔がお好き。


「…今日って一応デートのつもりで来たんだけど。
ぼんやりしてるとかひどくねえ?」


ぼそりとつぶやかれた言葉に口に咥えていたストローを吹き出してしまった。
じとりとこちらを見つめる宮尾くんに何て反応するのが正解なんだろう。

「あ、ご…ごめ…」

「ごめん、冗談。気にすんなって」

ふっと笑った宮尾くんは当たり前だけど私服姿で。
学校に居る時とは違う、大人っぽい表情になんとなく落ち着かない気持ちになる。

たしかに、失礼だったかもしれない。
せっかく誘ってくれて店まで決めてくれたのに、
他のことばかり考えてぼんやりして。

心の中で大反省会を開いていると、遠慮がちに宮尾くんが口を開いた。


「…なんか悩み事?」

悩み事、ではないような。

いや、どうしてあんな顔してたのか
あの日からずっと考えちゃってるから、これは悩み事の部類に入るんだろうか。

なんて答えていいか分からず黙り込むあたしにさらに言葉を続ける。


「美澄くんとなんかあった?」

みすみくん、という言葉に反応したように頬が引き攣る。
なにもないよ、と笑っていうつもりだったのにどうやっても笑顔が作れない。


「……なんで遼くんのことだと思ったの?」
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