遼くんは泣き顔がお好き。
なんでもないよ、という代わりに出て来たのは自分でもびっくりするくらい弱々しい言葉だった。
しおれたあたしの顔を見て宮尾くんはやっぱりね、と苦笑した。
「海行った日、俺らのとこ戻って来た時なんか変だったから。美澄くんもなんとなーく元気なかったし」
「よく見てるね…」
「2人とも見事に様子おかしかったから、
美澄くんついに無理やりキスでもしたかと思ったんだけど」
「キッ…!!!!!!」
さらりと吐かれた”キス”というワードに思わず椅子を蹴って立ち上がってしまう。
お洒落な店内に似合わない大きな音が鳴り、一瞬で周りのお客さんの視線が集まった。
すみませんすみませんと頭を下げて慌てて座り直すと、
頬杖をついた宮尾くんが面白そうに笑っていた。
「宮尾くんが変なこと言うから…っ!」
「ごめんって、冗談だから。
キスしたには重すぎる雰囲気だったしそれはねえなって」
またさらりとキスという単語を口にした宮尾くんをじとりと睨みつける。