遼くんは泣き顔がお好き。



「あ、そろそろ5時だ、
……帰んないとね」


なんだかんだ今日は半日一緒に居たから離れがたい。
そんな子どもっぽいこと言えないけど。

遼くんも腕時計を確認して、うん、と頷く。

「ちょっとこっち来て」

「え、こっち駅と反対だよ?」

「だいじょーぶ、道はわかってるから」


そう言ってサクサク歩き始めた遼くんは、本当に道が分かってるみたいだったから黙って着いて行くことにした。

そう言えば、一緒に来て欲しいところがあるって言ってたっけ。

今日一日楽しくて、すっかり忘れてた。


しばらく道なりに歩き続けると、どこか見覚えがある景色に変わっていく。

あれ、この辺ってもしかして。


「ねえ遼くん、この辺あたし来たことあるかも…ってか住んでたかも。」


確かこのあたり、小学生の頃住んでたエリアだ。

見覚えのあるお菓子屋さんの看板を見つけて嬉しくなって、横を歩く遼くんを見上げた。


「あ、この辺りね、この前言ってた公園がー…」

「うん、知ってる。」

「知ってるって、なんで…」



喋っている途中だったのに、
伸びてきた大きな両手に頬を包まれて中途半端に言葉が途切れる。


「俺もこの辺に住んでたんだ、小学4年生くらいまで。
親がマンション買って今住んでる街に引っ越したんだよ」

「………あれ?」

待って。

これ、前にもされたことある。

その時はまだ子どもの手のひらで、小さかったけど。


確かにあの時、こうやってあったかい手で頬を包まれたことがある。








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