遼くんは泣き顔がお好き。
今までは、楽しくもないのに人に合わせて笑ってたような気がする。
不自然じゃないように気を配ってたつもりだったけど、
わかる人にはわかるんだ。
…少なくともミカちゃんたちには分からなかったんだろうけど。
「なんか久原さんの笑った顔、犬っぽくてかわいいね!」
「犬ってタミ…お前それ褒めてねぇじゃん」
「相原もそう思わない?なんかさ、機嫌のいい柴犬みたいな!」
田道くんの言葉を聞いて、思わず声をあげて笑った。
まさか、笑った顔を犬にたとえられるとは。
あたしが笑ったことに驚いたのか、さっきから宮尾くんは目をまん丸にしたまま微動だにしてない。
びっくりさせて申し訳ないけど、こんなに笑いが止まらなかったのは久しぶりかもしれない。
「なんだよ久原さん、めっちゃ笑うじゃん!
そんな面白かった?」
「う、うん…あたしって犬に似てたんだね、
しかも柴犬」
「俺柴犬好きだよ!」
「あたしも、柴犬好き。かわいいよね」
田道くんは話し上手で、話しているうちにお弁当の中身はどんどん減っていって。
食欲がなかったはずなのに、いつの間にか綺麗に完食できていた。
「なー、ミヤ。ちょっと聞いていい?」
「ダメ。」
「なんでそんな顔赤くなってんの?」
「気のせいだほっとけ」
相原くんと宮尾くんがぼそぼそと話している内容はうまく聞こえないまま、
昼休憩はあっという間に終わった。