遼くんは泣き顔がお好き。
そして翌日。
美澄くんはまた現れた。
「れいちゃん、ご飯食べよぉ」
…非常階段に。
「な、なんでこの場所が分かったの?!」
「れいちゃんのにおいがしたから」
「警察犬か!怖いわ!!」
宮尾くんたち以外には誰にも話してないはずなのに、
なんでこの場所が分かったの?
恐るべし、美澄遼の嗅覚。
すでにお弁当箱を広げていたあたしの隣にいそいそと座ると、美澄くんは菓子パンの封をあけた。
「お昼ご飯、これだけなの?」
「うん、今日はねぇ、チョココロネとー、ベーグルとー…」
「なんかおかず欲しくならないの?
こんな甘いパンばっかり…」
「れいちゃんのおかずちょーだい」
あたしのお弁当箱を覗き込んで、
ハンバーグを指差す。
「これがいい」
ぱかっと口を開いて待っているその姿を見ていると、
気が抜けた。
この子はきっとどこまでも末っ子体質なんだろう。
口の中にポイっとハンバーグを放り込むと、
薄い茶色の瞳がとろけるように笑う。
「俺ハンバーグ好き。また明日も作ってきて?」
「え、明日もくるの?!」
「だってれいちゃんが言ったんじゃん、教室に来ないでって。教室以外ならいいんでしょ?」
そういうのを世間一般では屁理屈というのでは…。
頭を抱えたあたしの口元に、ふわりと甘い何かが押し付けられる。
少し口を開くとふわふわしたものを前歯がかじった。