遼くんは泣き顔がお好き。


「お返し。俺の好きなパン」

「チョココロネ、好きなの?
甘いヤツ好きなんだね美澄くん」


まだ封があいてないパンも甘いヤツばかり。
お昼ご飯にこれだけ甘いもの食べて胸焼けしないんだろうか。

「…もう一回言って」

片手にチョココロネを持ったまま、不自然な姿勢で固まる美澄くんが小さな声で言った。


「ごめん、なんて言った?聞こえなくて」

「さっきの、もう一回言って」

「さっきの…甘いヤツ好きなんだね?」

「…っ、そうじゃなくて!
俺の名前。」

「名前?美澄くん、でしょ?」

もしかして名前間違えてた?
そう思って顔を上げると、普段は無機質な顔にサッとピンク色が差し込んだ。
光もさしていないのに、何故か目はキラキラと光ってるし。


「え、何?どうしたの?」

「れいちゃん、俺苗字じゃなくて名前で呼んでほしい」

「ええ……」


正直、嫌だ。

嫌だ、けど。


呼ぶまでしつこく付きまとわれそうだし、
まぁ良いか。


「遼くん」


あまり大きくない声で呟くと、その顔がさらにパァッと輝く。
眩しすぎて直視できない、ってこう言うこと?


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