遼くんは泣き顔がお好き。


昨日田道くんがあたしのこと柴犬に似てるって言ってたけど、この子も犬みたいだ。
ドーベルマンとかコリーとか、大型犬。
へにゃりと眉を下げて笑うその顔を見ていると、普段の冷たく綺麗な顔の印象がどんどん薄れていく。

「これからは俺のこと、名前で呼んでね」

「うーん…」

曖昧な返事をするあたしにやたらと圧の強い笑みを返した美澄くん…じゃなくて遼くん。

誰もいない時なら名前を呼んでもいいかな、なんて上から目線なことを考えた。


「そういえばさ、あの時なんであんなに泣いてたの?
あの男の先輩に泣かされた?」

「男の先輩…宮尾くんのこと?
違う違う、宮尾くんはあたしを心配して一緒に帰ってくれただけで」

「仲良いの?あの人と」

「仲…悪くはない…」


微妙な返答をするあたしに、遼くんも微妙な表情を浮かべた。


「……あの日は、ちょっと色々あって。
友達とケンカ?みたいになっちゃって」

「友達とケンカ?それであんなに泣いてたの?」


笑いたければ笑いたまえ。
あたしにとってはスムーズな学校生活を送る上で友達の存在はかなり大きいのだ。


「じゃあれいちゃんは今友達いないってこと?」

「ヴッ…そ、そういうこと、ですね…」


改めて言われるとかなりダメージがでかい。
そうだ、あたしは今教室内で友達がいないぼっちになってしまったんだ。





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