遼くんは泣き顔がお好き。
「久原さん、明日は俺ここで昼食べるから!
いい?」
「っ、もちろん…!ありがとう」
「俺も明日もここ来てご飯食べる!
れいちゃん、またおかずちょーだいね?」
出た、その顔の角度。
自分が可愛く見える角度でおねだりすれば、
なんでもまかり通ると思ってるに違いない。
「ちょーだい、じゃねーよ!
なんでお前1年のくせにこんなとこ居るんだよ、教室戻りなさい!」
目を三角にして喚く宮尾くんをガン無視してゴミをまとめ、
「じゃあれいちゃん、また放課後迎えにいくから。」
とにっこり笑った。
「え、ちょっ…放課後も来るの?!来なくていいよ!」
あたしの声は届くことなく非常階段のドアが閉まる音が響く。
” 教室にいる時以外は俺がれいちゃんのそばにいるから”
遼くんが口にした言葉が脳裏を過ぎる。
まさか、本当に教室にいる時以外あたしにくっついてくるわけじゃないよね?
「なぁ久原さん、アイツなんなの?
なんであんな久原さんにべったりなわけ?」
「…友達になるんだって、あたしの」
「はぁ?友達?
いや、あれは友達とかそんなヌルいもんじゃないだろ!
てか友達ならもう俺らがいるし、あんな危ないヤツ必要ないよな、久原さん!」
あたしの前にしゃがみ込んだ宮尾くんは必死の形相で。
普段あまり見たことのないその顔にドクンと心臓が跳ねる。
どう答えたらいいのか分からず目が泳いだその瞬間、
タイミングよくチャイムが鳴った。
「午後の授業始まっちゃうから戻ろ!」
手早くお弁当箱を片付けて、しゃがんだままの宮尾くんに声をかける。
不服そうにあたしを見上げたその顔に曖昧に笑いかけ、
非常階段のドアを開けた。