遼くんは泣き顔がお好き。




初めて人を好きになったのは、俺が小学2年生の時。
幼いながらに自分の顔が整っていたことをしっかり自覚していたせいで、すでに世の中を舐めくさっていた。

少し目元を緩ませて笑えばみんな俺に優しくなる。
相手をじっと見つめると言うことを聞いてくれる。
もっと幼い頃には自分が魔法使いなんじゃ無いかと思ったこともあったっけ。
だけど俺は魔法使いじゃ無い。

みんな俺の顔面に従っているようなものだった。


2年生の夏、もう誰がクラスメイトだったか覚えてもいないけど、俺は人気者だったと思う。
常に周りには友達がいて、なんの悩みも不安も無い毎日。


あの子を見かけたのは、その頃だった。





「やめて!!!」

夏の日暮れの帰り道、
どこからか高い声が聞こえた。
その声はすぐにでも泣き出しそうな声で、思わず声の出どころを探す。
ふと公園に目をやると、何人かの子どもたちが集まっているのが見えた。

「僕と同い年くらいかな、同じ学校の子?」

集まっている子どもたちの顔を1人ずつ確認していくけど見覚えのある顔はない。
こっそりと公園へ近づき、垣根に隠れて様子を伺うことにした。


「お前さぁ、誰のことかばってるか分かってんの?
キモタだぞ?バイ菌なんだぞそいつは!」

「お前もバイ菌なんじゃねぇ?きったねえ!」


ゲラゲラと笑う子どもたちが囲んでいるのは地面に膝をついた女の子と男の子。
恐怖の表情を浮かべる2人はやはり同い年くらいの子だった。


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