遼くんは泣き顔がお好き。
「どけよ、お前も同じことされてえの?」
その言葉に女の子の目からついに涙が溢れる。
それを見ていじめっ子たちははやし立て、2人に向かって公園の砂場の砂を投げつけ始めた。
…さすがに、やりすぎだろ。
仕方なく腰を上げ、公園に足を踏み入れた。
「ねぇ、今さっきお巡りさんがこの辺自転車で走ってたよ。そろそろこの辺り通ると思うけど?」
「……誰だよお前」
「こんな明らかにいじめって分かる状況見られたらまずいんじゃない?」
その言葉にさっと表情を変えたいじめっ子たちは散り散りになって立ち去っていく。
地面にしゃがみ込んだままの砂まみれの男の子もよろよろと立ち上がり、公園を出ていった。
残ったのは女の子の方だけ。
「ねぇ、大丈夫?」
話しかけても泣きじゃくるだけで返事もできないらしい。
顔を砂まみれにしてぼろぼろと涙をこぼすその表情は悲惨としか言いようがない。
水道でハンカチを濡らして女の子のところへ戻り、
頬にあてるとやっとその目がこちらを向いた。
濡れたまん丸の目が綺麗だった。
「……ありがとう」
ひっくひっくとしゃくりあげているせいで聞こえづらかったけど、たしかにお礼を言っていた。
「いいよ別に。家に帰る前に綺麗にしたほうがいいよ、
お母さんびっくりするよ」
うん、と頷いてハンカチを受け取り顔を拭いていく。
ぼさぼさの髪は砂で汚れているせいでパサついているけど普段はきっと綺麗な黒なんだろう。
気づけばおかっぱの頭を撫でていた。