遼くんは泣き顔がお好き。


「あの男の子のことかばったんだ?
でもあの子、君のこと置いてさっさと帰っちゃったよ?
かばってあげたのにひどいね」

「かばったわけじゃないから…。
わたしそんなに強くないし」

「さっきやめてよ、って言ってたじゃん。
あの男の子のこと守ったんじゃないの?」

「ちがう。ただわたしは、きわたくんがいじめられてるのを見るのがいやで、たまたま見かけたから我慢できなくて…やめてって言っただけで」


わたしね、ふだんはみんなと一緒になってきわたくんに話しかけないようにしてるの。
小さな声で彼女は言った。


「いつもはみんな無視するとかなのに、
今日は…きわたくんのランドセル、蹴って、頭もたたいて…」

それを見て怖くなって、やめてと叫んだらしい。

そっか、と返事をすると途端に静かになった。
うつむいたままの女の子を横目で見て、これからどうしようかと密かに頭を悩ませていたその時、


「…どうしよう、次はわたしの番だ…。」


ぽつりと呟いた声は掠れていて聞きづらい。
だけど確かに聞こえた。

”怖い。”


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