遼くんは泣き顔がお好き。


その瞬間、目の前の女の子の両頬に手が伸びた。

本当に無意識で自分でもどうしてこんなことをしているのか分からない。


「…えっと、どうしたの?」

明らかに困った顔で俺を見る女の子に返事もできず、
両手にその子の顔をおさめたまま数秒。

「ご、ごめんっ!!!」

気づけば俺は公園から走って逃げ出していた。
心臓が痛い。
今までないくらいにバクバクと脈打っているのを感じる。
顔が熱くて仕方ない。
走って走って、家の前に来た時やっとその足は止まった。

荒い呼吸はなかなか整わず、全身から汗が吹き出しているのを感じる。

こんなことは初めてだった。


「なに、これ……。」


呟いた言葉に返してくれる人もなく、
俺はただ家の前に立ち尽くしていた。



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