遼くんは泣き顔がお好き。
「ねぇ、1時間目体育だけど大丈夫なの?
見学した方が…」
「大丈夫大丈夫!ほら更衣室行こー」
本当はまだ暑さでくらくらするけど、まあこのくらいなら許容範囲だろう。
涼しい廊下に出るとちょっとだけ暑さも和らいだ気がするし、多分大丈夫。
あたしのこの安易な考えは、30分後には間違いだったと気付かされるんだけど。
「…あっつ…」
「ほら言わんこっちゃない、熱中症にでもなってんじゃないの?」
今日の体育は室内でバスケ。
蒸した体育館に10分も居るだけでぶわっと汗が湧いてくる。
ミカちゃんたちがあたしから離れていってから、体育や美術の2人ペアでやることは1人きりでやっていた。
だけど最近は江波さんが一緒にやってくれるようになって、それがものすごく嬉しい。
だから多少体調が悪くても見学なんてしたくなかった。
…だけど。
大人しく見学しといた方が良かったかも…。
「やっぱ今日体調悪かったん?
朝から顔真っ赤にしてたから気になってたんだけど」
体育館の真ん中を仕切っている網の向こう側から、
宮尾くんの心配そうな顔が見えた。
とりあえず、水でも飲みに行こう。
そう思った瞬間、かくんと力が抜けて顔から地面に倒れていた。