遼くんは泣き顔がお好き。
ゴン、とかガン、みたいなものすごい音が体育館に響く。
「久原さんっ…?!」
「やだ、大丈夫?!先生!久原さんが…」
一瞬目の前が真っ暗になって、
気が付くと床にうずくまっていた。
顔を上げたあたしの顔を覗き込んで、江波さんが顔を歪める。
「久原さん…鼻血出てる…痛そー」
顔を伝ってるこの生ぬるい感覚は鼻血だったのか。
相当ひどい顔をしてるらしく、遠巻きに見てたミカちゃんたちがケラケラと笑う声がした。
「やばっ、きったない顔…ウケる」
「鼻血出すとか小学生男子じゃん」
その声を聞いて慌ててうつむいた。
…恥ずかしい、逃げたい。
気づけばクラス中から注目されていて、消えたくなった。
「とにかく保健室行かないと、あたしついてくから…」
「いいよ、俺が連れてく」
宮尾くんの声がするやいなや、がくんと視界が揺れる。
目線が高くなったような気がして顔を上げると、普段よりも冷めたような目で何かを睨みつける宮尾くんの顔があった。