遼くんは泣き顔がお好き。
なんでこんなことを言ったのか分からない。
だけど勝手に口が動いていた。
「どこかで…って、どこで?」
「分からないけど……」
「なんでそんなこと聞くの?」
「なんとなく、そんな気がしたんだけど
…理由になってないよね。
変なこと言ってごめん」
はは、と情けなく笑った後、なんとなく恥ずかしくなってきて遼くんを置いて早足で歩き始める。
”前にどこかで会ったことある?”
なんて、なんか恥ずかしいセリフ吐いてしまった。
目の前に立ちはだかる夕陽が眩しくて、顔の前に手をやった瞬間ぐいっと後ろから身体を引っ張られた。
体勢を整える暇もなくて、そのまま後ろに倒れてしまう。
そう思ってぎゅっと目を瞑ったけどいつまで経ってもその衝撃はやってこない。
「……れいちゃん」
耳元に熱い息がかかって肩をすくめる。
後ろから抱き抱えるみたいにしてあたしの肩に顔を埋めた遼くんから、ふわりといい匂いがした。
「れいちゃん」
返事が出来ない。
バクバクとうるさい心臓の音が、口を開くと飛び出して来そうだ。