この家、全員まともじゃない。②

『 医者 』

零夜、さん……?


私がパニックに陥っていると、零夜さんは余裕の笑みで藍くんのお腹に優しく包帯を巻いていく。


止血し終わり、薬を飲ませる零夜さん。


「……はい、藍。頑張ったね。」


「うる、せぇ……。」


苦し紛れに、でも嬉しそうに言う藍くん。


「藍くん……っ。ごめん、私のせいでっ……!」


大事な人を……、守れなかった。


「……琴音の、せいじゃ、ない。」


こんな時でも優しく微笑んでくれる藍くんは……、


必要不可欠な存在だと思う。


「私、私ねっ……、藍くんが死んだら、生きていけなくって……。だからっ……、」


言いたいのに、言えない。


肝心な時なのに。


藍くんにお礼さえ言えないんだ。


こんな意気地無しで、ごめんなさい……。


「……藍は、謝られても嬉しくないと思うよ。」


ハッとして零夜さんを見る。


零夜さんは、安心感のある視線を藍くんに向けていた。


きっと藍くんと零夜さんは、深い深い絆で結ばれているんだと実感した。


それさえも切なくなってしまって、私は嗚咽混じりの涙を流した。


< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop