この家、全員まともじゃない。②
でも、悲劇は起こった。


「あんたらなんか死んじゃえ!」


お母さんの鋭い声と同時に、


私に向かってナイフが飛んでくる。


「えっ……?」


刺される……と思った。


でも、痛みがなかったんだ。


目を開くと……。


私の前でお腹を押さえている……藍くん。


藍くんの、お腹に……、ナイフが……。


「はっ!いい気味!」


そう言い放ったお母さんは、逃げるように遠くへ行った。


私は初めて、増悪という感情を経験した。


でもそれ以上に、さっきよりも倍に涙が溢れ出た。


「藍くん藍くん藍くんっ……!逝かないでっ!」


誰か……。救急車を……。


すると、人影が急に現れた。


「──大丈夫だよ。俺が治す。」


視界に映ったのは────、


零夜、さん……?
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