この家、全員まともじゃない。②

『 俺の進歩と琴音への独占欲 』

Side:青雲 藍



「……はい、藍。頑張ったね。」


「うる、せぇ……。」


ついに本性が出てしまった。


治療はされたけど、まだ後味がある。


俺を救ってくれた零夜に、本性を出さないというのもなんか罪悪感があった。


零夜が俺を見つめる視線は、実に優しかった。


普通の俺ならドン引きするだろうけど、なぜか今回はちゃんと受け止められた気がする。


弟として、零夜と対等に話せた。


俺の思い込みかもしれないけど、すごく嬉しさを感じる。


そして、琴音。


なんでまだ泣いてるの。お前のせいじゃないよ。


俺がお前を守りたかったから、俺がした最大限の気持ちを表しただけだ。


だから、泣かないでほしい。


涙に視界を奪われるより、俺を見た方がよっぽど得するよ。


俺だけ見て。他の男を一切視界に映すな。


「……琴音。」


まだ泣いている琴音に、優しく声をかけた。


零夜の治療法が人間外れなのか、もう痛みは無くなっている。


今なら、ちゃんと話せる。


「……ごめん、なさいっ……。」


まだ謝ってる。


……。


俺は琴音の口を塞いだ。


「……!?」


琴音は動揺し、零夜が興味深そうに眉を上げている。


「……お前、さっきから謝りすぎ。……涙に視界を遮られるくらいなら、俺を見ろよ。」


琴音の目が見開いた。


こくり、と小さく頷いて、俺をしっかり捉える琴音。


俺は満足気に琴音を見て、おでこにキスした。


「……藍、重いぞ。」


「……黙れ。」


「これが本性か……。生意気だな。」


もう零夜に本性を隠すつもりはない。


零夜が俺の命を救ってくれたのは感謝してるけど、これをきっかけにして素を出そうと思う。


演じ続けるのも疲れてきたし。


琴音の口から手を離して、俺は死ぬほど甘いセリフを吐いた。


「……俺の事好きなら、俺以外視界に映しちゃだめ。分かった?」


琴音の顔が一瞬で赤く染まる。


今度は俺が動揺する。


「……っ、可愛すぎ。」


零夜は見てられないという風に深いため息をついて、最後にチラリと琴音のおでこを見てから、家に帰った。


俺はすぐ琴音に視線を戻し、キスしようとした。


────が。


「え、何してんの……?」


蓮兄の声で、邪魔された。


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