好きになった人は、未来のアイドルだった

3話 ただ、それだけなのに

大学生になって、カフェでバイトを始めた。
覚えることが多くてまだ慣れない。

その日も同じような一日になるはずだった。
ドアが開く音がする。
「いらっしゃいませー!」

ドアの方を見ると、え……ゆうたろうくんだ。
(え、え、なんでゆうたろうくんが来るの?)
(大学の最寄りじゃないのに……)
(もしかして、家この近くとか?)

悠太郎はレジに来ると付けていたイヤホンを片耳外して
「アイスカフェラテお願いします」と注文する。

「かしこまりました!」
声が上擦った気がする。
やばい、変な店員だと思われたかな。

「お待たせしました、アイスカフェラテです」
アイスカフェラテを差し出すと、ゆうたろうくんと目が合う。
「ありがとうございます」
小さな声で、目を見てお礼を言ってくれる。
(……今日はほんとに目が合ってる)
カフェラテを受け取ると席に向かうゆうたろうくん。

触れたわけでもないのに、指先が熱い。
ただの店員と客なのに。
ただ、カフェラテを渡しただけなのに。

ゆうたろうくんは席に座ると
またイヤホンをつけてノートに何かを書いている。
ラフなパーカーにスウェットのズボン。
……なのにやっぱり発光して見える気がする。
今日も、そう見えた。……理由は分からないけど。
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