堕天使と悪魔は偽りの姫を欲しがる

私を置いてけぼりで、2人の話は進んでいく。


月は怖い顔してるし、夕星さんは明らかにこっちに敵意を持ってる。


2人が睨み合ったまま、私たちの間の空気は氷点下。




「まあいいや。今の椎堂、つまんないから」


「……」


「もう話すことないし。──じゃあな、ルナ」


「は?」




最後にとんだ爆弾発言を落として私たちに背を向けた夕星さん。


夕星さんに会ったことは月には秘密にしていたのに、なんで言うの、言っちゃうの。




「……えっと。ゆ、月?」


「ルナ、俺に言ってないことあるんじゃないの」


「…ごめん」




はぁ、と大きめのため息をついて髪をかき混ぜた月に、私は少しびくっとする。


怒らせたいわけじゃなかったのに……




「あ〜、別に怒ってるわけじゃないけどさ」


「隠してたのに?」


「そう。…これでも心配なんだよ」




少し乱れた前髪の隙間から、俯きがちな月の眼と視線が交差した。


ゆらゆら揺れるその瞳に惹きつけられて、吸い込まれそう。




「月……ごめんね。隠してて」


「いーよ、ルナになんもなかったなら」




私と月が無事和解(?)した私たちに、案内を任せられたらしいウェイターさんから声が掛かる。




「──お話し中のところ申し訳ないのですが、4番控え室でお連れ様がお待ちです」
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