極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
重なり合った想い
「狡いです……そんな言い方……。そんな風に言われたら、私は……どうすればいいんですか?」
「…………それは……」
「そんな、言い逃げみたいなことしないでください」
「……悪い」

 羽衣子はぎゅっと唇を噛み締めた。

「…………私、昴さんから希海くんとのことを聞いた時から、ずっと思っていたんです。昴さんの一番になることはできないんだって……」

 震える声で、それでも言葉を紡いでいく。

「だから、せめて傍にいられるだけでいいって思おうとしました。でも、自分の気持ちに気づけば気づくほど、それじゃ辛くて……。だけど離れるのはもっと嫌で……どうしたらいいのか分からなかったんです」

 そこまで言った羽衣子は潤んだ瞳を昴へ向けた。

「なのに、今みたいなことを言われたら……私……」
「羽衣子……」

 昴は息を呑んだ。

 まさか羽衣子も自分と同じ想いを抱えていたなんて思わなかったから。

 驚く昴を前に羽衣子は意を決したように拳を握り締め、そして、

「……昴さん。私、昴さんのことが好きです…………迷惑かもしれないし、困らせてしまうかもしれない……けど……好きなんです。ごめんなさい……っ」
「――っ!」

 その言葉を聞いた瞬間、昴は堪えきれなくなり、腕を伸ばして羽衣子の身体を引き寄せると、そのまま強く胸へ抱き締める。

「……すばる、さん?」
「謝るな…………いや……違うな。お前にそんなことを言わせてしまったのは俺の方だ」

 言いながら抱き締める腕に力がこもる。

「迷惑だなんて思うはずがないだろう。俺はずっと、誰かを恋愛対象として好きになることなんてないと思っていた。これから先も変わらないと、本気でそう思っていたんだ。けど、お前と出会ってからは違った。お前のことを知るたびにもっと知りたいと思ったし、困っているなら力になりたいと思った。俺の傍にいれば危険な目に遭うかもしれないと分かっていたのに、それでも傍に置いておきたいと思った……離れてほしくないのは、俺の方なんだ」

 羽衣子の肩を抱きながら、昴は真っ直ぐに想いを告げる。

「好きだ、羽衣子」

 それは昴が初めて口にする、飾り気のない本心だった。

「誰にも触れさせたくないし、お前の笑顔を見ていると独り占めしたくなるくらいに……お前のことが好きだ。これからもずっと、俺の隣にいてほしい――」

 そして、その言葉と共に昴は羽衣子の顔に自身の顔を近づけていくと、今にも泣き出しそうな彼女の頬にそっと触れ、そのまま唇を重ねていった。
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