極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「白城さん! 昴さんが羽衣子ちゃんを助けに行くって聞かなくて……」
「助けに行く? 傷は塞いでるが、痛みはあるだろ?」
「こんなのどうってことは無い。痛み止めだけくれればいい」
「ったく、相変わらず強情な奴だな。広瀬、コイツを止めても無駄だ。一度決めたら誰が何と言おうとそれをする。お前らに出来ることはコイツをサポートすることだけだ」
「そんな……。けど、本当に大丈夫なんですか?」
「まあ、無理すりゃ傷口は開くかもしれねぇが、その時は止血さえしときゃ死ぬことはねぇだろうよ」
「ということだ、乙哉、お前は他の組員と連携取って羽衣子が捕らわれてる建物の近くで待機しろ。何があっても、俺が指示するまでは姿を見せるな。お前が調べた限り、もう内通者はいねぇんだろ?」
「はい……皐月とも意見交換しましたけど、俺らの見た限り他には居ないかと……」
「まあ俺も、例の狭霧(さぎり)兄弟の動向には少し気をつけてはいたんだ。特に兄の方は時折何かを探るような動きをみせていたからな」
「それなら早く言ってくれれば……」
「確証が無かったんだ。アイツらは一生懸命やっていたし、俺としても疑いたくはなかったし、憶測だけで処分は下せなかったからな」
「……すいません」
「謝ることじゃねぇよ。見抜けなかった俺の落ち度だ。アイツらも、うちより高遠の方が条件が良くて寝返ったんだろう。とにかく、今更過ぎたことを言っても仕方ねぇ。今は羽衣子を救出することが最優先だ。それと、お前には例の建物まで運転を頼みたい」
「勿論! そんなの言われなくてもやりますって」
「助かる。希海はどうしてる?」
「希海は皐月が片時も目を離さないで側についてるんで、問題無いです」
「そうか、なら安心だな。準備するから表に車回しておいてくれ」
「了解」

 こうして昴は怪我を負った身体に鞭打って羽衣子救出へ向かう準備を整えることになった。
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