極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 観覧車がゆっくりと地上へ近づいていく間、希海はずっと羽衣子に抱きついたままだった。

 小さな腕を羽衣子の首に回し、安心しきったように頬を寄せている。

 そして、いよいよ観覧車を降りる時間になると希海は羽衣子の顔を見上げながら甘えるような声を出した。

「ういちゃん、だっこして?」

 その仕草があまりにも可愛らしく羽衣子は思わず頬を緩める。

「もちろん、いいよ」

 そう答えると羽衣子は希海を抱き上げてそのまま観覧車を降りた。

 その後も希海は園内ではずっと羽衣子の腕の中。

 途中昴が、「そろそろパパと代わるか」と手を伸ばしても希海は首を横に振った。

「パパじゃなくてういちゃんがいーの!」
「おいおい……」

 困ったように苦笑する昴をよそに希海はますます羽衣子にぎゅっとしがみつく。

 そんな希海を見て羽衣子は嬉しそうに笑った。

 きっと今まで我慢していた分だけ母親という存在に甘えたいのだろう。

 そう思うと、いくらでも抱いていてあげたいと思えたのだ。

 閉園時間を迎えて車へ戻ると、一日中遊び回った希海はシートに座ってすぐに眠り込んでしまった。

 けれど、眠っていても羽衣子の手だけは離さず小さな指が羽衣子の指をしっかりと握り、安心しきったような寝息を立てていた。

「……ふふ」

 その寝顔を見つめながら羽衣子は空いた手でそっと希海の髪を撫でると、そんな二人の姿をミラー越しに見つめていた昴は暫く黙った後でやがて小さく息を吐いた。

「希海が受け入れてくれたのは良かったが……」
「はい?」
「羽衣子の独占が激しいな」
「ふふ、仕方ないですよ」

 昴の言葉に羽衣子はくすりと笑う。

「希海くん、ずっと“母親”という存在に甘えたかったんだと思うので、ついつい甘えちゃうんだと思います」
「……そうかもしれねぇけど」

 そう言いながらも昴の声にはどこか不満が混じっていて、そんな昴に羽衣子が首を傾げると昴は前を向いたままぽつりと呟いた。

「……俺としては面白くねぇけどな」
「え?」
「勿論、希海がそう思う気持ちがわからねぇって意味じゃねぇぞ? 俺がお前に触れられねぇのが面白くねぇってことだ」
「……っ」

 その言葉で羽衣子の頬が一瞬で赤くなる。
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