極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
部屋に静寂が落ち、聞こえるのは空調の音と、希海の穏やかな寝息だけ。
いくらホテルに居るからと言って当然ながら、何かが起こるわけではない。
希海も眠っているし、こんな状況で変な空気になる方がおかしい――それなのに。
(……なんで、こんなに意識しちゃうんだろ……)
羽衣子は無意識に指先を握り締めた。
同じ部屋の中、しかもベッドとソファーという距離感が妙に落ち着かない。
視線を向けないようにしていても、ソファーに座る昴の姿がどうしても気になってしまう羽衣子。
意識しないようにするほど、余計に存在を感じてしまった羽衣子は誤魔化すように眠る希海の髪をそっと撫でながら、熱くなる胸を必死に落ち着かせていた。
それから暫くして、静まり返っていた室内に小さな電子音が鳴った。
それは昴のスマートフォンで、ソファーに座っていた彼がすぐに電話に出た。
「……ホテル周辺は?」
『問題ありません。自宅周辺も確認済みです。現在のところ、不審な人物や車両の動きもないです』
「そうか」
『引き続きこちらでも警戒は続けますが、今夜は一旦大丈夫かと』
「了解。ご苦労だった」
そして通話を切った昴は小さく息を吐いた。
「……ひとまず、怪しい動きは無いらしいので、帰りましょう」
「……本当ですか?」
「ええ。ホテル周辺も自宅周辺も確認済みです」
そう言ってから昴は少しだけ表情を緩めたので、羽衣子の中の不安が消えたわけではないけれど、昴がそう言うのなら大丈夫なのだろうと安心できる自分がいた。
結局、その日は何事もなく終わり、そこから数日も特に問題無く過ぎていく。
ただ、いつまた尾行されるかも分からない状況下にあるので、自宅は別の場所に移した方が良いということで、今週末、急遽別の場所へ引越しをすることになった。
その準備に追われつつも日常を過ごし、引越し前夜の金曜日。
時刻はもうすぐ深夜を回る頃、昴は仕事の都合で帰宅が遅くなると連絡を入れてきていたので、希海を寝かしつけた羽衣子はそのままうとうとして眠ってしまっていた。
あの日以降、昴が帰って来るまでは乙哉が家に居てくれるようになっていた為、羽衣子の不安はかなり軽減されていて、普段通りの生活が出来ていた。
そして深夜、リビングのソファーでうとうとしかけた乙哉。
持っていたスマートフォンを落としかけた、その時、ガシャァンッ!!!という突然響いた轟音に、乙哉は勿論、羽衣子と希海も目を覚ます。
それは窓ガラスが砕け散る耳障りな音で、寝起きの羽衣子は一瞬、何が起きたのか理解出来ない。
「な、に……!?」
隣で希海も怯えたように目を覚まし、小さく震える。
「ういちゃ……?」
「大丈夫、大丈夫だから……!」
そう希海を落ち着かせようと羽衣子が言葉を発した直後、寝室の扉が勢いよく開いた。
「羽衣子ちゃん、希海!!」
飛び込んできたのは乙哉で、鋭い表情のまま二人の前へ立つと、即座にスマートフォンを耳へ当てる。
「昴さん、侵入された。今どこ!?」
その瞬間だった。
バタバタバタと荒々しい足音が廊下に響き、羽衣子の背筋が凍る。
そして、寝室の入口に二人の黒づくめの男が姿を現した。
いくらホテルに居るからと言って当然ながら、何かが起こるわけではない。
希海も眠っているし、こんな状況で変な空気になる方がおかしい――それなのに。
(……なんで、こんなに意識しちゃうんだろ……)
羽衣子は無意識に指先を握り締めた。
同じ部屋の中、しかもベッドとソファーという距離感が妙に落ち着かない。
視線を向けないようにしていても、ソファーに座る昴の姿がどうしても気になってしまう羽衣子。
意識しないようにするほど、余計に存在を感じてしまった羽衣子は誤魔化すように眠る希海の髪をそっと撫でながら、熱くなる胸を必死に落ち着かせていた。
それから暫くして、静まり返っていた室内に小さな電子音が鳴った。
それは昴のスマートフォンで、ソファーに座っていた彼がすぐに電話に出た。
「……ホテル周辺は?」
『問題ありません。自宅周辺も確認済みです。現在のところ、不審な人物や車両の動きもないです』
「そうか」
『引き続きこちらでも警戒は続けますが、今夜は一旦大丈夫かと』
「了解。ご苦労だった」
そして通話を切った昴は小さく息を吐いた。
「……ひとまず、怪しい動きは無いらしいので、帰りましょう」
「……本当ですか?」
「ええ。ホテル周辺も自宅周辺も確認済みです」
そう言ってから昴は少しだけ表情を緩めたので、羽衣子の中の不安が消えたわけではないけれど、昴がそう言うのなら大丈夫なのだろうと安心できる自分がいた。
結局、その日は何事もなく終わり、そこから数日も特に問題無く過ぎていく。
ただ、いつまた尾行されるかも分からない状況下にあるので、自宅は別の場所に移した方が良いということで、今週末、急遽別の場所へ引越しをすることになった。
その準備に追われつつも日常を過ごし、引越し前夜の金曜日。
時刻はもうすぐ深夜を回る頃、昴は仕事の都合で帰宅が遅くなると連絡を入れてきていたので、希海を寝かしつけた羽衣子はそのままうとうとして眠ってしまっていた。
あの日以降、昴が帰って来るまでは乙哉が家に居てくれるようになっていた為、羽衣子の不安はかなり軽減されていて、普段通りの生活が出来ていた。
そして深夜、リビングのソファーでうとうとしかけた乙哉。
持っていたスマートフォンを落としかけた、その時、ガシャァンッ!!!という突然響いた轟音に、乙哉は勿論、羽衣子と希海も目を覚ます。
それは窓ガラスが砕け散る耳障りな音で、寝起きの羽衣子は一瞬、何が起きたのか理解出来ない。
「な、に……!?」
隣で希海も怯えたように目を覚まし、小さく震える。
「ういちゃ……?」
「大丈夫、大丈夫だから……!」
そう希海を落ち着かせようと羽衣子が言葉を発した直後、寝室の扉が勢いよく開いた。
「羽衣子ちゃん、希海!!」
飛び込んできたのは乙哉で、鋭い表情のまま二人の前へ立つと、即座にスマートフォンを耳へ当てる。
「昴さん、侵入された。今どこ!?」
その瞬間だった。
バタバタバタと荒々しい足音が廊下に響き、羽衣子の背筋が凍る。
そして、寝室の入口に二人の黒づくめの男が姿を現した。