友達以上恋人未満
LINE 真子編
LINE
自分の中から、抑えきれないほどのバイタリティーが沸き起こってくる。この感覚は久しぶりだった。日常の隙間時間に、スマホで素人参加型の番組を検索していたら、NHKの「失敗談」をテーマにしたオーディション番組がヒットした。タイトルを見ただけで、これだと思った。衝動に突き動かされるまま、すぐに葉書で応募したところ、数日後に「オーディションへお越しください」という返信が届いた。あまりのスピードに驚きつつも、心の中に新しい風が吹いた気がした。
その勢いのまま、真子にLINEを送ることにした。以前は頻繁に連絡を取っていたが、最近は少し疎遠になっていた。「たまにはLINEしなきゃ」と自分に言い聞かせながら、メッセージを打ち込む。土曜日に登録しているエキストラの事務所から、NHKの番組出演依頼がきています。内容は「面白い失敗談」を募集するというものです。
番組名:「NHK杯 輝け!全日本大失敗選手権大会 ~みんながでるテレビ~」
放送局:NHK総合
MC:村上信五(関ジャニ∞)、東野幸治
この番組で披露するにふさわしい、自分の「人生を左右した失敗」といえば――統合失調症に5度も襲われた経験。社会生活を営むうえでこれ以上の大きな壁はなかったし、その中でどれだけ自分がもがき、葛藤したか。いけるかもしれない、そう確信して即座に応募した。
すると、最初の選考を無事に通過したと連絡が来た。週末にはNHK熊本放送局で面接があるらしい。これに合格すれば、東京での番組収録が待っている。交通費も宿泊費もNHKが負担してくれるとのことだ。普段は淡白な文章を送ることが多い私にしては、今回は熱量が違った。そのせいだろうか、真子からもすぐに返信がきた。
本当に久しぶりのLINEですね!😊✌️
なんかすごいですね!👍
龍太郎さんがテレビに出るなんて、ぜひ見たいです。楽しみにしています!😄
その言葉に胸がじんと熱くなった。久しぶりのやりとりが、こんな形で再びつながるとは思わなかった。彼女の応援の言葉が、妙に心に響く。「テレビに出るなんて」と軽く流しているけれど、自分にとってはこれは大きな挑戦だ。これまでの人生を振り返り、真子にも、そして自分自身にもどれだけ成長したかを証明するような機会かもしれない。そして何より、心のどこかでまだ真子に認められたい、喜んでもらいたいという気持ちがあることを、今回のLINEで再認識したのだった。
オーディション会場は熊本市内の静かなマンションの一室だった。少し緊張しながらドアを開けると、中には若いプロデューサーが二人待っていた。初対面の雰囲気にぎこちなさを覚えながらも、軽く挨拶を交わした。その後、彼らから「ビデオが回っていますので」と軽い説明を受け、面接が始まった。最初の数分は和やかなやりとりだったが、次第に話が私の持参した作品に移っていく。二人は机の上に置かれた作品に目を通し始め、その目が少しずつ興味を帯びていくのが分かった。その瞬間、胸がざわつく。どこかで「自分の作品が届いた」という実感が湧き始めていた。彼らはページをめくりながら一言、「この詩、共感しますね」とつぶやいた。私の中で小さな喜びの波が立つ。そして、次の瞬間、「スマホのカメラで撮影してもいいですか?」と尋ねられた。もちろんと頷くと、シャッター音が静かに響いた。その音が、この場での私の存在を肯定してくれるように感じられた。さらに、プロデューサーの一人は作品の目次にも目を向け、アドレスを指差しながら「本部に戻って読ませてもらいます」と言葉を付け加えた。その表情はどこか真剣で、ただの社交辞令とは思えなかった。そして、最後にこうつぶやかれる。「女性のネタって面白いですね」。その一言に、心の中でこっそりとガッツポーズをしていた。気がつけば、時計の針はすでに1時間を過ぎていた。あっという間に時間が過ぎていったことが、私にとって何よりの手応えだった。この時間が私の心にどれだけの自信を与えたか。それは言葉にするのが難しいほど大きかった。静かに部屋を出るとき、肩の力がふっと抜けた。外に出た瞬間の冷たい空気が、少し熱を帯びた心を落ち着かせてくれるようだった。それでも、心の奥には小さな炎が灯っている。この炎が消えないうちに、もっと自分を表現したい。次のステージに進むことを強く願いながら、私は歩き出した。
最近の真子は、以前とまるで別人のようだった。あれほど元気でうるさく、まるで自由奔放な猫のようだった性格が、どこかお淑やかに変わっている。しかし、その変化は表面だけで、どこか違和感を覚える。まるで猫が化け猫になったかのような――そんな奇妙な印象を受けるのだ。見た目の変化も目を引いた。話の輪に入ってくるときの格好が、やたらと派手で目立つ。スカートは短く、パンツが見えそうなほど際どいスタイルだ。そのたびに周囲の視線が集まり、彼女を中心に場がざわつく。自然と私は視線を逸らしながら、心の中で彼女との距離を感じる。一方で、スポーツの時間になると、真子はまるでスイッチが入ったかのように気合が漲る。まっすぐな目でコートを駆け回る彼女の姿は、少し前の彼女とはまた違った輝きを放っている。周囲がそのエネルギーに引き込まれる一方で、私はどこか疎外感を覚えていた。彼女の中にある「ピチピチした若さ」、それがまるで別の世界のものに思える。その輪の中に入っていく自信もなければ、入りたいとも思えない自分がいる。あの頃、共に笑い合っていた記憶が、今では遠い過去のようだ。真子は変わった。それも劇的に。しかし、私自身が変わったのかもしれない。彼女を見つめながら、彼女の持つ明るさや勢いに対して抱くのは嫉妬なのか、諦めなのか、言葉にできない複雑な感情が渦巻いていた。
こんにちは✨ 龍太郎さん、体調大丈夫ですか❔寿司屋は、龍太郎さんが元気な時にいつでも行けるから、また行きましょうね(peace sign)(joyful)
楽しみにしてます(wink)(thumbs up) 明日は休みですね(peace sign)(joyful)
何をしますか(?)
初めて会った時から続く身体の症状が、今も衝動的に私を突き動かす。こんな状態では、彼女と一緒にいることなど到底できそうにない。そんな折、偶然にもホームセンターの入り口で真子とバッタリ出くわした。一瞬、時が止まるような感覚に襲われた。先週、百円ショップでも顔を合わせていたが、そのときはお互いに軽く挨拶を交わしただけだった。しかし今回、真子は満面の笑みを浮かべながら近づいてきた。
「カラオケに行きませんか?」彼女は屈託のない声で誘ってきた。その言葉に驚きつつも、私は「友達と来てるから」と咄嗟に断った。断った後も、どこか後ろめたさが胸をよぎる。真子の笑顔は少し寂しそうに見えた気がしたが、それ以上追及することもなく、彼女は明るく「またね」と言って立ち去った。その姿を見送りながら、胸の奥で小さな波紋が広がるのを感じた。
それでも、この頃の私はまだ真子に対して恋愛感情を抱いていなかった。LINEでのメッセージは時折交わしていたものの、そのやり取りはどこか表面的で、心の距離感を埋めるほどのものではなかった。むしろ、彼女の屈託のない明るさや積極的な態度に対し、自分がどう応えればいいのか分からないまま戸惑っていた。真子は変わった。それを感じていながらも、私自身はその変化をどう受け止めていいか分からなかった。以前の真子とはどこか違う――そんな漠然とした違和感と、どこか手が届かないような感覚が私の心に居座っていた。恋愛感情がないと自分に言い聞かせる一方で、心の奥底では何かがざわめいているのを自覚していた。ただ、その感情が何なのか、まだはっきりと言葉にすることはできなかった。それが不安だったのか、それとも期待だったのか。真子と再会するたび、心の中に広がるその揺らぎに気づかないふりをして、私はそっと目を逸らしていた。
NHKのプロデューサーから電話があった。その声はどこか事務的で、冷たささえ感じさせた。
「今回は統合失調症というテーマに対し、場が暗くなる恐れがあるため、採用を見合わせることにしました」
その瞬間、全身から力が抜けたようだった。心臓がぎゅっと締め付けられ、思考が止まる。夢見ていた舞台への扉が、無情にも閉ざされたのだ。電話を切った後、しばらくその場から動けなかった。期待と不安の入り混じった日々。自分の過去をさらけ出す勇気を振り絞って挑んだオーディション。そのすべてが否定されたように感じられた。「暗くなる恐れがある」。その言葉が何度も頭の中をぐるぐると回る。統合失調症。5度も襲われた病。それは確かに私の人生に影を落としたが、同時に私のすべてでもある。その経験を笑いに変え、誰かに勇気を与えることができるのではないかと信じていた。しかし、世間はそんな過去を「重い」と見なす。明るさや軽さが求められる世界で、自分の存在は拒まれたのだ。
「世に出る夢は絶たれた」。そう自分に言い聞かせながらも、心の奥底には諦めきれない思いがくすぶっていた。自分を受け入れてもらえる場所は、ここではないのかもしれない。それでも、自分の歩んできた道が無意味だとは思いたくなかった。涙は出なかった。ただ、胸の奥がじんわりと痛む。夢を追い続けるには、まだ何かが足りないのだろうか。その問いに答えを出すことができないまま、私は静かにスマホを机の上に置いた。
自称恋愛小説家です。たぶん、職員の岡本さんに、「普段は物静かでおとなしい性格」の私の意外性のある一面です。
佐藤さんに影響されて、競馬の分析もスポーツ新聞を買って来週の会話のネタにしようかと思ってます。
最近、デイケアに来るのが面白くて楽しいです。
今日は、朝、診察の時と、ナイトの時話せましたね(peace sign)(joyful)
さっそく(line)してみました(minnie)(shiny)
また明日、元気に会いましょうね
私はいつの間にか、真子とのLINEに夢中になっていた。彼女からのメッセージに返信する時間は、私の日常の中で特別なものになっていた。画面越しのやり取りは楽しく、時には胸が高鳴る瞬間さえあった。しかし、ふと気づいたとき、私はあることをすっかり忘れてしまっている自分に気づいた。本来なら電話番号を交換したり、直接会う機会を作ったり、もっと自然に距離を縮める方法があったはずだ。けれど、LINEという手軽さに頼りすぎて、そうした基本的なことすら話題に上らなかった。それどころか、彼女を誘うという一歩を踏み出す勇気も持てなかったのだ。画面越しのやり取りは、どこか安心感がある。顔を合わせることなく、自分の言葉を整理して伝えられる。それが私にとって心地よかったのかもしれない。だが、その反面、リアルな関係に踏み込むきっかけを自ら遠ざけていたのだと思うと、胸に小さな後悔が押し寄せる。真子がどんな思いで私とのLINEを続けているのか、本当はわかっていない。彼女が何気なく送る絵文字や短い返事の裏に、どれだけの期待や感情が隠されているのかを想像するたび、私は自分の鈍さがもどかしくなる。
「電話番号くらい聞けばよかった」「誘う勇気があれば」と、後から考えても、すでにそのタイミングは過ぎ去っている。LINEに夢中になるあまり、大切な一歩を踏み出せなかった自分。それが私の限界なのだろうかと、自問せずにはいられなかった。
ライン返せなくてごめんなさい(sorry)
いつも思うけど、龍太郎さんの、ラインの内容、毎回面白いと思います(thumbs up)(grin)
今回も面白かったです(sparkle) お疲れ様
なんか、毎回龍太郎さんの(line)が楽しみです
そろそろ2019年も終わりを告げようとしている。
真子ちゃんは、三拍子揃って、歌も西野カナ並みだし!私は、若い頃はアイドルオタクでね!その私が、いいと思うから、かなり良いんだと思いますよ!
三拍子揃うってどういうことですかね(?) なんか、最近褒めてもらってありがとうございます(emoji)
この日から真子は。既読スルーを続けるようになる。
自分の中から、抑えきれないほどのバイタリティーが沸き起こってくる。この感覚は久しぶりだった。日常の隙間時間に、スマホで素人参加型の番組を検索していたら、NHKの「失敗談」をテーマにしたオーディション番組がヒットした。タイトルを見ただけで、これだと思った。衝動に突き動かされるまま、すぐに葉書で応募したところ、数日後に「オーディションへお越しください」という返信が届いた。あまりのスピードに驚きつつも、心の中に新しい風が吹いた気がした。
その勢いのまま、真子にLINEを送ることにした。以前は頻繁に連絡を取っていたが、最近は少し疎遠になっていた。「たまにはLINEしなきゃ」と自分に言い聞かせながら、メッセージを打ち込む。土曜日に登録しているエキストラの事務所から、NHKの番組出演依頼がきています。内容は「面白い失敗談」を募集するというものです。
番組名:「NHK杯 輝け!全日本大失敗選手権大会 ~みんながでるテレビ~」
放送局:NHK総合
MC:村上信五(関ジャニ∞)、東野幸治
この番組で披露するにふさわしい、自分の「人生を左右した失敗」といえば――統合失調症に5度も襲われた経験。社会生活を営むうえでこれ以上の大きな壁はなかったし、その中でどれだけ自分がもがき、葛藤したか。いけるかもしれない、そう確信して即座に応募した。
すると、最初の選考を無事に通過したと連絡が来た。週末にはNHK熊本放送局で面接があるらしい。これに合格すれば、東京での番組収録が待っている。交通費も宿泊費もNHKが負担してくれるとのことだ。普段は淡白な文章を送ることが多い私にしては、今回は熱量が違った。そのせいだろうか、真子からもすぐに返信がきた。
本当に久しぶりのLINEですね!😊✌️
なんかすごいですね!👍
龍太郎さんがテレビに出るなんて、ぜひ見たいです。楽しみにしています!😄
その言葉に胸がじんと熱くなった。久しぶりのやりとりが、こんな形で再びつながるとは思わなかった。彼女の応援の言葉が、妙に心に響く。「テレビに出るなんて」と軽く流しているけれど、自分にとってはこれは大きな挑戦だ。これまでの人生を振り返り、真子にも、そして自分自身にもどれだけ成長したかを証明するような機会かもしれない。そして何より、心のどこかでまだ真子に認められたい、喜んでもらいたいという気持ちがあることを、今回のLINEで再認識したのだった。
オーディション会場は熊本市内の静かなマンションの一室だった。少し緊張しながらドアを開けると、中には若いプロデューサーが二人待っていた。初対面の雰囲気にぎこちなさを覚えながらも、軽く挨拶を交わした。その後、彼らから「ビデオが回っていますので」と軽い説明を受け、面接が始まった。最初の数分は和やかなやりとりだったが、次第に話が私の持参した作品に移っていく。二人は机の上に置かれた作品に目を通し始め、その目が少しずつ興味を帯びていくのが分かった。その瞬間、胸がざわつく。どこかで「自分の作品が届いた」という実感が湧き始めていた。彼らはページをめくりながら一言、「この詩、共感しますね」とつぶやいた。私の中で小さな喜びの波が立つ。そして、次の瞬間、「スマホのカメラで撮影してもいいですか?」と尋ねられた。もちろんと頷くと、シャッター音が静かに響いた。その音が、この場での私の存在を肯定してくれるように感じられた。さらに、プロデューサーの一人は作品の目次にも目を向け、アドレスを指差しながら「本部に戻って読ませてもらいます」と言葉を付け加えた。その表情はどこか真剣で、ただの社交辞令とは思えなかった。そして、最後にこうつぶやかれる。「女性のネタって面白いですね」。その一言に、心の中でこっそりとガッツポーズをしていた。気がつけば、時計の針はすでに1時間を過ぎていた。あっという間に時間が過ぎていったことが、私にとって何よりの手応えだった。この時間が私の心にどれだけの自信を与えたか。それは言葉にするのが難しいほど大きかった。静かに部屋を出るとき、肩の力がふっと抜けた。外に出た瞬間の冷たい空気が、少し熱を帯びた心を落ち着かせてくれるようだった。それでも、心の奥には小さな炎が灯っている。この炎が消えないうちに、もっと自分を表現したい。次のステージに進むことを強く願いながら、私は歩き出した。
最近の真子は、以前とまるで別人のようだった。あれほど元気でうるさく、まるで自由奔放な猫のようだった性格が、どこかお淑やかに変わっている。しかし、その変化は表面だけで、どこか違和感を覚える。まるで猫が化け猫になったかのような――そんな奇妙な印象を受けるのだ。見た目の変化も目を引いた。話の輪に入ってくるときの格好が、やたらと派手で目立つ。スカートは短く、パンツが見えそうなほど際どいスタイルだ。そのたびに周囲の視線が集まり、彼女を中心に場がざわつく。自然と私は視線を逸らしながら、心の中で彼女との距離を感じる。一方で、スポーツの時間になると、真子はまるでスイッチが入ったかのように気合が漲る。まっすぐな目でコートを駆け回る彼女の姿は、少し前の彼女とはまた違った輝きを放っている。周囲がそのエネルギーに引き込まれる一方で、私はどこか疎外感を覚えていた。彼女の中にある「ピチピチした若さ」、それがまるで別の世界のものに思える。その輪の中に入っていく自信もなければ、入りたいとも思えない自分がいる。あの頃、共に笑い合っていた記憶が、今では遠い過去のようだ。真子は変わった。それも劇的に。しかし、私自身が変わったのかもしれない。彼女を見つめながら、彼女の持つ明るさや勢いに対して抱くのは嫉妬なのか、諦めなのか、言葉にできない複雑な感情が渦巻いていた。
こんにちは✨ 龍太郎さん、体調大丈夫ですか❔寿司屋は、龍太郎さんが元気な時にいつでも行けるから、また行きましょうね(peace sign)(joyful)
楽しみにしてます(wink)(thumbs up) 明日は休みですね(peace sign)(joyful)
何をしますか(?)
初めて会った時から続く身体の症状が、今も衝動的に私を突き動かす。こんな状態では、彼女と一緒にいることなど到底できそうにない。そんな折、偶然にもホームセンターの入り口で真子とバッタリ出くわした。一瞬、時が止まるような感覚に襲われた。先週、百円ショップでも顔を合わせていたが、そのときはお互いに軽く挨拶を交わしただけだった。しかし今回、真子は満面の笑みを浮かべながら近づいてきた。
「カラオケに行きませんか?」彼女は屈託のない声で誘ってきた。その言葉に驚きつつも、私は「友達と来てるから」と咄嗟に断った。断った後も、どこか後ろめたさが胸をよぎる。真子の笑顔は少し寂しそうに見えた気がしたが、それ以上追及することもなく、彼女は明るく「またね」と言って立ち去った。その姿を見送りながら、胸の奥で小さな波紋が広がるのを感じた。
それでも、この頃の私はまだ真子に対して恋愛感情を抱いていなかった。LINEでのメッセージは時折交わしていたものの、そのやり取りはどこか表面的で、心の距離感を埋めるほどのものではなかった。むしろ、彼女の屈託のない明るさや積極的な態度に対し、自分がどう応えればいいのか分からないまま戸惑っていた。真子は変わった。それを感じていながらも、私自身はその変化をどう受け止めていいか分からなかった。以前の真子とはどこか違う――そんな漠然とした違和感と、どこか手が届かないような感覚が私の心に居座っていた。恋愛感情がないと自分に言い聞かせる一方で、心の奥底では何かがざわめいているのを自覚していた。ただ、その感情が何なのか、まだはっきりと言葉にすることはできなかった。それが不安だったのか、それとも期待だったのか。真子と再会するたび、心の中に広がるその揺らぎに気づかないふりをして、私はそっと目を逸らしていた。
NHKのプロデューサーから電話があった。その声はどこか事務的で、冷たささえ感じさせた。
「今回は統合失調症というテーマに対し、場が暗くなる恐れがあるため、採用を見合わせることにしました」
その瞬間、全身から力が抜けたようだった。心臓がぎゅっと締め付けられ、思考が止まる。夢見ていた舞台への扉が、無情にも閉ざされたのだ。電話を切った後、しばらくその場から動けなかった。期待と不安の入り混じった日々。自分の過去をさらけ出す勇気を振り絞って挑んだオーディション。そのすべてが否定されたように感じられた。「暗くなる恐れがある」。その言葉が何度も頭の中をぐるぐると回る。統合失調症。5度も襲われた病。それは確かに私の人生に影を落としたが、同時に私のすべてでもある。その経験を笑いに変え、誰かに勇気を与えることができるのではないかと信じていた。しかし、世間はそんな過去を「重い」と見なす。明るさや軽さが求められる世界で、自分の存在は拒まれたのだ。
「世に出る夢は絶たれた」。そう自分に言い聞かせながらも、心の奥底には諦めきれない思いがくすぶっていた。自分を受け入れてもらえる場所は、ここではないのかもしれない。それでも、自分の歩んできた道が無意味だとは思いたくなかった。涙は出なかった。ただ、胸の奥がじんわりと痛む。夢を追い続けるには、まだ何かが足りないのだろうか。その問いに答えを出すことができないまま、私は静かにスマホを机の上に置いた。
自称恋愛小説家です。たぶん、職員の岡本さんに、「普段は物静かでおとなしい性格」の私の意外性のある一面です。
佐藤さんに影響されて、競馬の分析もスポーツ新聞を買って来週の会話のネタにしようかと思ってます。
最近、デイケアに来るのが面白くて楽しいです。
今日は、朝、診察の時と、ナイトの時話せましたね(peace sign)(joyful)
さっそく(line)してみました(minnie)(shiny)
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私はいつの間にか、真子とのLINEに夢中になっていた。彼女からのメッセージに返信する時間は、私の日常の中で特別なものになっていた。画面越しのやり取りは楽しく、時には胸が高鳴る瞬間さえあった。しかし、ふと気づいたとき、私はあることをすっかり忘れてしまっている自分に気づいた。本来なら電話番号を交換したり、直接会う機会を作ったり、もっと自然に距離を縮める方法があったはずだ。けれど、LINEという手軽さに頼りすぎて、そうした基本的なことすら話題に上らなかった。それどころか、彼女を誘うという一歩を踏み出す勇気も持てなかったのだ。画面越しのやり取りは、どこか安心感がある。顔を合わせることなく、自分の言葉を整理して伝えられる。それが私にとって心地よかったのかもしれない。だが、その反面、リアルな関係に踏み込むきっかけを自ら遠ざけていたのだと思うと、胸に小さな後悔が押し寄せる。真子がどんな思いで私とのLINEを続けているのか、本当はわかっていない。彼女が何気なく送る絵文字や短い返事の裏に、どれだけの期待や感情が隠されているのかを想像するたび、私は自分の鈍さがもどかしくなる。
「電話番号くらい聞けばよかった」「誘う勇気があれば」と、後から考えても、すでにそのタイミングは過ぎ去っている。LINEに夢中になるあまり、大切な一歩を踏み出せなかった自分。それが私の限界なのだろうかと、自問せずにはいられなかった。
ライン返せなくてごめんなさい(sorry)
いつも思うけど、龍太郎さんの、ラインの内容、毎回面白いと思います(thumbs up)(grin)
今回も面白かったです(sparkle) お疲れ様
なんか、毎回龍太郎さんの(line)が楽しみです
そろそろ2019年も終わりを告げようとしている。
真子ちゃんは、三拍子揃って、歌も西野カナ並みだし!私は、若い頃はアイドルオタクでね!その私が、いいと思うから、かなり良いんだと思いますよ!
三拍子揃うってどういうことですかね(?) なんか、最近褒めてもらってありがとうございます(emoji)
この日から真子は。既読スルーを続けるようになる。