この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
心音は涙を堪えながら郁人の胸を押し、彼を突き放す。
「別れましょう」
「……え?」
「私たち、もう終わりにしましょう」
「ど、どうしていきなり……」
心音の言葉に、郁人は気が抜けたようにそう言う。
「財閥の御曹司の妻だなんて、私には荷が重すぎます。それに……あなたこと、愛していなかったみたいです」
心音は郁人の目を見ることができず逸らす。
左手の薬指にはめられた指輪を外すと、心音は郁人の手に指輪を渡した。
そしてそのまま立ち去ろうとするが、郁人に腕を掴まれた。
「俺の目を見て言ってください。もう、愛していないと」
心音は俯きながら郁人に振り向く。
そして、ゆっくりと、顔を上げ郁人を見た。
真っ直ぐに自分を見つめる瞳を見て、心音は揺れ動く心を必死に抑え込み、感情を押し殺した。
「あなたを愛していません」
心音は郁人の腕を掴むと、その手を避けさせた。
そして背を向けると、一度も振り返ることなく、郁人の元を後にした。