この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
「うわっ……まじか」
隣のデスクに座っていた松下が、パソコン画面を見ながら頭を抱えていた。
「どうしたの?」
「これ、今日の朝まで経理に提出しないといけない予算書だったんですけど、まだ途中で、でも急ぎで、このデータをまとめて営業に送らないといけなくて……」
心音が松下のパソコン画面を覗くと、データの入力は半分ほどしか終わっていなかった。
これではどちらも間に合わないだろう。
「ああもう……!」
松下はすっかりてんやわんやになっている。
「私が予算書の残りやって、経理に持っていくよ」
「えっ、いいんですか?」
「ちょっと松下くん、天野さんに甘えないの」
話を聞いていた安藤が厳しい顔をして松下に言う。
「天野さんだって事務仕事あるんだから」
「私なら大丈夫です。今日、提出しないといけない書類やらは、全て昨日のうちに終わらせてありますから」
「あら、そうなの?珍しいわね。いつも期日に済ませているのに」
「あははっ……」
(郁人さんのことを考えないようにするために、仕事に没頭しようとしていたとは言えない)
松下は今にでも泣き出しそうな顔をしながら、心音に深々と頭を下げる。
「ありがとうございます天野先輩!」
(少し散歩したい気分だったし、ちょうどいい)