僕の秘密と、彼女の嘘

境界線の向こう側

「あ、あの子だ」

校門を出たところで潤平が言った。

テスト期間中で部活も補修も休み。
めずらしく四人で帰っていた。

潤平の視線の先、道路の向こう側の公園。

犬を散歩させている女の子がいた。

パーカーにロングスカート。
茶色のショートボブが風に揺れている。

「知り合い?」

僕が聞くと朱真が肩をすくめた。

「いや、たまに見かけるだけ。かわいいよなって話してて」

「制服は見たことないんだよなー」

「彼氏いるのかな?」

「さあ。犬連れてるとこしか見たことない」

「ふぅん……」

最近知ったことがある。

──男子校の男子は、想像以上に女に飢えている。

潤平も朱真も湊も、普通にかっこいいのに、今は誰も彼女がいないらしい。

気づけば、僕も彼女を目で追っていた。

笑いながら白い大きな犬と軽やかに歩く姿は、確かにかわいかった。

そのうち誰かが声をかけるのかもしれない。

そんな未来だけは、簡単に想像できた。
それが自分じゃないことだけは、はっきりわかっていた。
< 5 / 27 >

この作品をシェア

pagetop