遅かれ、早かれ、恋になりまして。
いつも通りの時間に家を出て、いつも通り5分歩いて駅へ向かう。
改札を抜けてホームへ上がると、ちょうど電車が到着するアナウンスが流れる。今日は少し遅れているらしく、ホームにはいつもより人が多かった。
電車が滑り込んできて、私は人の流れに押されるように乗り込む。
だめだ、眠い。頭が重い。立っているだけで体力を使う気がする。できれば座りたい。
でも、朝の通勤電車がそんな都合よく空いているわけもなくて、私は空いていたつり革を掴んで小さく息を吐いた。
身体が思った以上に重い。寝不足ってこんなに響くんだ。ぼんやりそんなことを考えながら、少しだけ体を壁側へ預ける。そのときだった。
「明石さん?」
不意に名前を呼ばれて、私はゆっくり顔を上げた。
「……?」
目の前にいた人物を認識した瞬間、心臓が跳ねる。
有馬さんだ。
そうだ、忘れてた……!私、この人と同じ電車だった……!
寝不足でぼんやりしていた頭が、一瞬だけ無理やり覚醒する。