本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

 私が手を合わせると、藍堂先生も同じようにした。

(なんだか少しむず痒いような、不思議な気分)

 ちなみに夕食は、野菜と鶏肉がたっぷり入った月見うどん。
 副菜に、かぼちゃと挽き肉の煮物。
 それから、豆腐とじゃこのサラダ。

 稲庭の細い麺が藍堂先生の口につるりと吸い込まれていく。

(そういえば、私が作る料理は藍堂先生の口に合ってるのかな)

 食器を下げに行くといつも完食していたので、不味いってことはなさそうだけれど。
 食べることにあまり興味ないって言ってたし、完食してるなら問題ないか。

 藍堂先生は野菜や鶏肉を次々と咀嚼をし、ごくんと飲み込んだ後、

「うまい……沁みる……」

 としみじみ呟いた。

 藍堂先生の口に合っていることがわかりホッとしたところで、私も箸をつける。
 かぼちゃと挽き肉の煮物は、甘いかぼちゃに挽き肉の旨味が移っていて美味しい。
 うん、やっぱり素材が良い。この辺りはお高めの住宅街だから、近場のスーパーも品質が良いスーパーなんだよね。

「栞さんは家事能力は人並みと言っていたが、とても上手くないか? 蒸しパンやカステラも美味しかった。いつも甘いものはあまり食べないんだが、糖分を摂取したからか、お陰で良いアイデアがひらめいた。ありがとう」

 突然の怒涛の賛辞。私は驚きのあまり、箸を落としかけた。

「わっ! あ、先生のお役に立てたのなら、何よりです……!」
「また作ってくれないか」
「もちろんです! 明日も作りますね」

 蒸しパンやカステラは余計なお節介かなって迷ったけど、作ってよかった……!
 私は藍堂先生の役に立てたことに、心底喜びを感じた。
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